さらり。



揺れる黒髪。
それはまるで冬の夜のような透明な黒。
その神秘的とも言える黒髪を称えた完璧なほどの美少女は彼の目の前をシルフのように駆け抜けて行った。


彼が彼女の姿を見て、


「女神だ・・」


と感想を漏らすのも仕方がなかった。


が。



「見ーたーぞぉー。」
「うおぁっ!!」


彼の後ろに奇遇にも立っていた。彼女、リナリー=リーの唯一の肉親である兄、コムイ=リーはしっかりと見逃さなかった。



「なななななななんだ貴様はっ!!び、びっっくりするだろう!!」


どっきんどっきん跳ねる心臓が痛くなる。
全く心臓に悪い。



「ぶー。バクちゃんがリナリーのことをヤラシイ目で見てるのが悪いんでしょー。」
「な、な、何を言ってるのだ!僕がリナリーさんをい、いやらしい目で見るわけがないだろう!!」
「なら、なんで動揺してんのさ。」
「貴・様・がびっくりさせるからだろうが!」




「・・嘘ついてる。」
「はあ!?」
「嘘だー!僕はバクちゃんのことだったら何でもわかるんだからね!」
「気持ち悪いこと言うなぁっ!」
「でも、ダーメ!ぶー!!リナリーはバクちゃんでもあげられないんだかんね!リナリーはぼーくーのー!」
「ああもう!見てないって言ってるだろう!」



イライライライラ。
バク=チャンはあまりのコムイなしつこさにイライラしっぱなしだった。
いつもこうなのだ。



こんな奴がリナリーさんと同じ血を別けた兄妹だなんて!



いつも考えてしまう。真剣に。
漢民族系統なのにも関わらず兄妹そろって気取らない肌の白さ、細くて長い手足。
顔だって僕のほうが当然カッコいいが良い方だ。
しかもリナリーと同じく透き通るような黒髪だ。











黒髪?












ふと。



「へぇ。」



バクは手を伸ばし、それにそっと触れる。




「へ・・?」



コムイは何が起きているのか、しばし理解が遅れた。
触れているのは彼の手。
触れられているのは自分の髪。
バクの細い指が柔らかくコムイのさらさらの黒髪を鋤いてゆく。





「綺麗だな。」







思わず呟いていた。











「ば、バクちゃん?」



その慌てたようなコムイのこえで気付いた。



「・・っ?!?!ぼ、ぼくは何してっ・・!」



パッとコムイの髪から手を放す。その速度は音速を越えたかもしれない。
そして同じ速度で耳の先まで顔を朱に染めてゆく様はさながらびっくり人間のようで、コムイは驚きよりも



「ぷっ。あっはっは!なんだいソレ!面白いなあバクちゃんは!」



面白さが勝った。
その言葉にさらにトマトのようにバクは顔を紅くして下を向く。



「うるさいこのヤロー・・」



その言葉はいつものバクの言葉とは全く違って、口が悪くて消え入りそうで。
コムイは自然とバクを抱き締めてしまっていた。



「何をする・・。」
「んー?別にー?」



腕の中で大人しくするバクの金色の髪を今度はコムイの指が撫でた。
愛しいと感じた。
それはきっとリナリーに感じる想いとは別の物。




「好きだよバクちゃん。」




コムイは笑いながら言う。




「俺は大キライだ。」





バクは頬を染めきりつつ、恥ずかしそうに言った。











君の髪の方が僕には綺麗に見えるよ。



という言葉はまた今度にとっておこう。と恥ずかしがるバクちゃんをからかいながらコムイは思った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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基からインフルをひいた時に貰ったコムバク小説です。
ひぎゃぁああ!^q^
かわゆす!!私にはかけないかわいさがあるよ!!!
ありまとー基!!








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